2010年10月22日

Coffee Break60  ラバンからの逃走(創世記31章) 





 ヤコブは母リベカの助けで、兄の祝福を奪いました。母リベカの差し金で家から逃げ出し、伯父ラバンの下へ逃れました。そんなマザコンのヤコブが、腹黒い伯父のもとで苦労するなかで、だんだんたくましく、伯父と張り合えるほどしたたかな男になっていくのです。

 神様は、すでに、ヤコブが母の胎内にいるとき、「二つの国が胎内にある。兄が弟に仕える」(創世記25章23節)と、仰せになりました。
 リベカが手もとにヤコブを置いて可愛がり、彼をマザコン状態にしたのは、このときのお告げのためかもしれません。
 けれども、ヤコブが、後年、逆境の中でどんどん姿を変え、一皮も二皮も剥けて、大きな人間になっていく萌芽は、天与のものつまり、神がお与えになった資質と見るべきでしょう。鍛錬されてより強くなる人間としての素質です。
 彼の粘っこい気質、抜け目のなさ、知恵、心の奥行きは、土くれ(私たち人間は土のちりから造られたということになっているのですが)というより、鋼の原石のようです。


 伯父ラバン(母の兄)の家での生活で、ヤコブは怒涛になぶられる小船のように、もまれ続けたのです。ひっくり返り難破しなかったのは、まさに彼の天性の資質をくださった神のお守りによるものでしょう。
 彼はたんなる労働者ではなく、大きな収益を伯父にもたらすような仕事をしました。だからこそ、ヤコブが十四年の年季が明けて、「妻子とハランに帰りたい」と申し出たとき、ラバンは執拗に慰留しました。


「あなたの望む報酬を言ってくれ。」(30章28節)
「何をあなたに上げようか。」(31節)


 しかし、ここでのヤコブは、もう、十四年前の若者ではありません。すでにラバンの人間性を見抜いて、その上を行く腹積もりがありました。
 ヤコブは伯父に、ブチ毛とまだら毛の羊・山羊全部と、黒毛の羊とを下さいと言ったのです。もし、ヤコブの羊の中にブチ毛やまだら毛でないもの、黒毛でないものがあったら、それはラバンのものだというわけです。

 ラバンはすぐに息子たちに命じて、ブチやまだらのある羊と山羊、黒毛の羊を取り分けて遠くの山に隔離しました。ヤコブはブチやまだらのない羊、山羊、黒くない羊ばかりを伯父の物として預かって世話をすることになりました。さいわい、動物は毎年のように子どもを産みます。ヤコブはすでに、心に計画していたとおり、動物たちを交尾させ、繁殖させます。
 ヤコブのやり方は、今の私たちにはちょっと理解できません。木の皮を剥いて、さかりがついた動物に向けておくと、それを見ながら交尾した動物から、まだらやぶちのある仔が生まれるというのです。これは、当時はそう信じられていた(実効のある)迷信みたいなものだったのでしょうか。しかし、彼の一所懸命の執念に神様が答えてくださったのでしょう。予想通りたくさんの、ブチやまだら毛の羊や山羊が生まれました。

 
 六年も経つと、ヤコブの家畜はラバンのものより圧倒的に多くなりました。ヤコブは金持になり、召使をたくさんもつほどになりました。

 このことに、ラバンの息子たちが文句を言いだしました。
 ヤコブは父親のものを盗んでいるというわけです。もともと計算高いラバンも、甥のこの「豊かさ」に脅威を覚えるようになりました。
 
 その頃、夢の中にふたたび主(神)が現れて仰せになりました。


「あなたが生まれた、あなたの先祖の国に帰りなさい。わたしはあなたとともにいる。」(創世記31章3節)

 そこでヤコブは使いをやって、ラケルとレアを自分のいる野に呼び寄せ、(4節)
 彼女たちに言った。「私はあなたがたの父の態度が以前のようではないのに気がついている。しかし、私の父の神は私とともにおられるのだ。」(5節)


 それに対し、ラケルとレア・・・日頃は激しいライバル意識を燃やしていた二人の妻は、揃って言うのです。

「私たちは父に、よそ者と見なされているのではないでしょうか。彼は私たちを売り、私たちの代金を食いつぶしたのですから。(15節)
 また神が私たちの父から取り上げた富は、すべて私たちのもの、また子どもたちのものですから。さあ、神があなたにお告げになったすべてのことをしてください。」(16節)
 

 ヤコブは男として責任を持って家族を養い、慈しんできたのでしょう。でなければ、まだ実父とともにいる妻たちが、このように言うはずがありません。

 ヤコブは、ラバンが野に出て羊の毛を刈る留守中に、家族と召使、家畜を率いて、ラバンのもとから逃げました。


 彼は自分の持ち物を全部持って逃げた。彼は旅立って、ユーフラテス川を渡り、ギルアデの山地へ向かった。(21節)

 
 三日目にこの事を知ったラバンは、烈火のごとく怒って、ヤコブを追いかけます。



posted by さとうまさこ at 04:00| Comment(0) | TrackBack(0) | Coffee Break | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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