2010年10月25日

Coffee Break63 マハナイム




 アブラハムの人間像は案外茫洋としています。生活の労苦があまり記録されていないからです。彼も一族を離れて、見知らぬ土地カナンにやってきて飢饉や戦いを経験し、住む土地を変えているのですから苦労はあったはずです。しかし、聖書記者の関心は、アブラハムが、神の救いの器の始祖となる人物であることに主眼が置かれていたのでしょう。アブラムが神に召され、導かれ、神とともに歩み、しだいに信仰を確かなものとする、そして、神ご自身が彼を祝福し豊かな族長にしてくださるプロセスが描かれています。
 イサクは、神を敬い、親を敬う温厚な二代目であり、あのモリヤの山で、アブラハムに縛られ、全焼のいけにえとして薪の上に載せられたときですら、抵抗した様子のない素直な人です。(創世記22章9節10節)
 イサクにとって、エサウと間違えて、ヤコブに祝福を与えてしまったことは心痛だったでしょうが、父アブラハムが腹違いのほかの兄弟を全部遠ざけてくれたおかげで、とくに生活に苦労した様子はありません。

 ヤコブの人生は、急に生々しく現実的なものとして描かれています。ヤコブはとても生きる執念の強い人でした。母の愛情を独り占めし、兄が受け継ぐものも欲しがったのです。 
 ヤコブが兄に「長子の権利」を売らせるところ、また、祝福を奪う箇所を見ても、読者がヤコブに肩入れするだけの理由がありません。
 ヤコブがまだ、母の胎内にいるときに、双子がお腹の中で争うような痛みに、リベカは主のみこころを求めに行ったのです。主は「弟が兄を支配する」と仰せになったのです。本気でリベカがアブラハム・イサクの神を信じるなら、このとき、夫に話して、生まれたときにヤコブを跡継ぎに決めるべきだったでしょう。
 しかし、夫婦がそのような行動を取らないこともまた、神はお見通しで、神のご計画のうちだったのでしょうか。


☆☆☆☆


 さてヤコブが旅を続けていると、神の使いたちが彼に現れた。(創世記32章1節)
 ヤコブは彼らを見たとき、「ここは神の陣営だ」と言って、その所の名をマハナイムと呼んだ。(2節)



 兄の祝福を奪った罪びとヤコブですが、にもかかわらず、逃亡したあと、たしかに主(神)が彼とともにおられるようになりました。
 荒野の夜に、まず主が夢に現れてくださいました(ベテル)。そして、その後の伯父の家での生活の中で、ヤコブは苛酷な生活の中でも、妻や子供を得ていきます。また、知恵を働かせて考え出した方法で自分の財産を作っていきます。
 彼がいよいよラバンのもとを去ろうと思ったとき、主が現れてヤコブに仰せられるのです。


「あなたが生まれたあなたの先祖の国に帰りなさい。わたしはあなたとともにいる。」(31章3節) 

 その上、ラバンがヤコブを追い、ヤコブになんらの鉄槌を下してやろうと思っているときに、主はラバンに仰せになるのです。「あなたはヤコブと、事の善悪を論じないように気をつけよ。」(24節)
 
 主は、確かに、ヤコブが苦しみ、惑い、新しい行動をとろうと葛藤の中にいるとき、必ず彼を励まし、お助けになったのです。
 ヤコブもまた、しだいに神への信頼、その信仰を高め強めて、神のしもべとなっていくのです。
 
 ラバンと別れて旅をつづけながら、ヤコブの心配は膨らむばかりでした。兄エサウを騙し、父を悲しませたその後始末が、故郷で待っているに違いないのです。
 その時、ヤコブの前に、「神の使い」が現れたのです。このことはどれほどヤコブを元気付けたでしょう。
 ヤコブは、兄に使者を送ることに決め、しもべを選んで兄に言うべき言葉を教えた。

「あなたのしもべヤコブはこう申しました。私はラバンのもとに寄留し、今まで留まっていました。(4節)
 私は牛、ろば、羊、男女の奴隷を持っています。それでご主人にお知らせして、あなたのご好意を得ようと使いを送ったのです。」(5節)


 一見平身低頭なあいさつですが、やはり、ヤコブの性格が出ています。たくさんの財産とともに帰っていくので、お兄さんにご迷惑はおかけしません。それどころかお役に立てると思いますのでよろしくお願いしますと、持ち物を強調しています。
 やがて、使いは戻ってきて伝えます。


「あなたの兄上、エサウのもとに行って来ました。あの方も、あなたを迎えに四百人を引き連れてやってこられます。」(6節)

 これを聞いたヤコブは、青くなりました。兄がたくさんの手勢を率いて、ヤコブを殺しにきたと思ったのです。





       「クリスマスへのいざない」は、本日午後一時ごろ掲載の予定です。



 
posted by さとうまさこ at 04:00| Comment(0) | TrackBack(0) | Coffee Break | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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