2011年04月22日

Coffee Break237 白鳥と王子と悪魔(マタイの福音書27章、イザヤ53章)

 


 私はある時期、クラシックバレエが大好きでした。といっても、踊るのではありません。観るだけです。バレリーナの、極限まで鍛えられたしなやかで優雅な動きに、息をのんだものです。もちろん、体操や新体操、エアロビクス、ジャズダンス、社交ダンス、日舞も美しいものだと思います。その中で、とくにクラシックバレエに惹かれたのは、バレエの持つ「音楽性」のためだったかもしれません。
 たとえば、白鳥の湖、くるみ割り人形、眠れる森の美女、ジゼルなど、古典バレエと言われる演目は、曲もまた名曲です。

 ただ、キリストについて知らない頃の私には、どうしても理解できないことがありました。「白鳥の湖」の王子とオデットの愛の物語など、あまりにも他愛ないと思えました。もともとの観客は、上流階級の人々だったのです。そうそうたる教養人の(ように見える)観客が、どうしてこんな他愛ないお話に、引き込まれるのだろうと思ったのです。


 「白鳥の湖」の筋書きは(説明するまでもないと思いますが)、森のなかの湖にいる美しい白鳥と王子様の物語です。白鳥は、じつは悪魔の魔法で、姿を変えられたある国の王女とその侍女たちだと言う設定です。白鳥は、夜の間だけ人間の姿に戻れるのです。
 ある夜、白鳥狩りに湖にやってきた王子は、そこで、美しい娘に戻っているオデットと出会い、恋に陥ります。娘は、だれかがオデットを愛し、結婚してくれたら魔法がとけるのだと打ち明けます。そこで、王子はオデットをお城の舞踏会に招待します。母親の女王に紹介し、婚約をしようとするのです。

 ところが、これを知った悪魔は、自分の娘オディールをオデットそっくりに仕立て、舞踏会へ送り込みます。何も知らない王子は、オディールに愛を打ち明け、婚約をしてしまいます。
 さあ、大変! オデットと王子の愛は成立せず、オデットの魔法は解けないわけです。王子は湖に出かけ、オデットに謝り、愛のために、自分のいのちを賭けて、悪魔と闘います。
 悪魔が敗北し、魔法は解けて二人はめでたく結ばれるのです。


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 イエス様の十字架と復活は、「愛」が「死」を打ち破った話です。「愛」が「悪魔」を打ち破り、悪魔によって縛られ、自由を失ってしまった人間が、悪魔の桎梏から解放され、永遠の救いに入る話です。
 愛のためにいのちを賭けたのは、イエス・キリスト(神ご自身)です。罪を犯して楽園を追放され、死にも等しい姿に変えられているのは、私たち人間です。
 
 イエス・キリストが、私たちの罪を贖って十字架上で死んでくださったことは、クリスチャンなら、だれでも知っていることです。それが、どれほど大きな神様の愛であったか、恵みであったか、とてもことばに尽くせません。
 
 悪魔ロットバルドと闘って、愛の強さで魔法を解く王子の話は、決して単純なおとぎ話ではないと、キリスト教が背景の文化では飲み込めたのでしょう。

 ☆☆☆☆

 それから、総督の兵士たちは、イエスを官邸の中に連れて行って、イエスの回りに全部隊を集めた。
 そして、イエスの着物を脱がせて、緋色の上着を着せた。
 それから、いばらで冠を編み、頭にかぶらせ、右手に葦を持たせた。そして、彼らはイエスの前にひざまずいて、からかって言った。「ユダヤ人の王さま。ばんざい。」
 また、彼らはイエスにつばきをかけ、葦を取り上げてイエスの頭をたたいた。
 こんなふうに、イエスをからかったあげく、その着物を脱がせて、もとの着物を着せ、十字架につけるために連れ出した。   (マタイの福音書27章27節〜31節)


 彼は痛めつけられた。
 彼は苦しんだが、口を開かない。
 ほふり場に引かれて行く羊のように、
 毛を刈る者の前で黙っている雌羊のように、
 彼は口を開かない。
 しいたげとさばきとによって、彼は取り去られた。
 彼の時代のもので、だれが思ったことだろう。
 彼が私たちの民のそむきの罪のために打たれ、
 生ける者の地から絶たれたことを。   (イザヤ53章7節〜9節)
 



 サンクトペテルブルグ(ロシアの首都)のキーロフ劇場から出てくる、帝政ロシア時代の着飾った貴族の男女は、かわいそうな美しい白鳥が、りりしい王子様の愛に救い出されたお話に、とても幸せな気分だったに違いありません。

 自分たちをオデット。王子を神様だと思えば、とうぜんです。わざわざ聖書を読み返して、せっかくのいい気分を損なう人は少なかったのではないでしょうか。
   
 聖書を読み返し、十字架の前に引き出されるイエス・キリストを、つぶさに思い浮かべ、「さて、悪魔は誰かしら」なんて思い始めたら、眠れなくなったかもしれません。

 バレエは、すばらしいエンターテイメントです。





  
 
posted by さとうまさこ at 04:00| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | Coffee Break | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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