2011年06月28日

Coffee Break299 奴隷の解放(申命記15章12節)

 


 もし、あなたの同胞、ヘブル人の男あるいは女が、あなたのところに売られてきて六年間あなたに仕えたなら、七年目にはあなたは彼を自由の身にしてやらなければならない。(申命記15章12節)

 聖書に「奴隷」がでてきて驚く人がいますが、聖書は、罪によって「楽園を追放された」人間の世界に、神様がどのように働いておられるか、神様がどのように人類を救おうとされているかを書いた書物ですから、人間の世界の、およそ「罪」と呼ばれるものすべてがあるわけです。

 申命記のこの記述は、すべて、カナンに入って国を建てて暮し始めた後に守るべきこととしているのですが、それにしても、荒野の四十年の間に、すでに、イスラエル人の間にも、貧しい兄弟、ほかのイスラエル人に身売りして奴隷になるものなどがいたのでしょう。

 そのような貧富の差が出るのを止めることは、人間の力ではできないことだったのですね。

 昨日のブログで取り上げた日本人の移民労働者の間でも、成功者と落伍者があり、それは、入植した土地の良し悪し、天候、家族構成、本人の健康状態などによって変わり、一概に失敗者イコール怠け者である、などと決められないのです。

 イスラエルの民をエジプトから連れ出された主、神はそのことをよくご存知なので、負債と同様、負債のために奴隷になった者も、定められた七年ごとの年に解放するよう(モーセを通じて)、求めておられるのでしょう。

 ヘブル人とは、厳密には細かい人種的説明があるようですが、聖書の中では、イスラエル人の別称だと考えても差し支えないと私は思います。


 ☆☆☆☆

 ところで、聖書のなかでは、創世記にすでに、たびたび「奴隷」が出てきます。

 アブラハムがエジプトのパロから奴隷や家畜をもらっています。(創世記12章20節)
 その奴隷の一人が、アブラハムの妻サラの女奴隷であったのですが、サラが子どもが生めないときに、アブラハムに差し出されています。(創世記16章2節)

 また、アブラハムの孫ヤコブの二人の妻、レアとラケルが熾烈な夫の愛の獲得競争の中で、それぞれ父親から与えられていた女奴隷をヤコブに与える記事もあります。(創世記30章)
 兄弟たちの反感を買ったヤコブの十一番目の息子ヨセフは、兄弟たちの計略でエジプトに奴隷として売られています。(創世記39章1節)

 エジプトに移住したイスラエル一族(ヤコブと十二人の息子たち)は、エジプトの政権の交代で、四百年後には、奴隷に落ちていたのです。(出エジプト記1章)
 
 古代社会では、戦争で負けたり、経済的に負債があって奴隷になるのは当たり前だったようです。さらに、人買い、誘拐などもあったでしょう。


 ネットで、日本には奴隷などいなかったという意見がありましたが、これはもちろん、まちがいです。

 律令制度の時代に、公民の下に奴婢が定められています。

 江戸時代以降でも、士農工商の身分の下に、非人、えたなどという階級が定められ、住む地域、職業、結婚、すべてに、大幅な制限がありました。
 その差別は、明治になっても戸籍に「新平民」と記され、就職、結婚なども思うに任せず、戦後になっても、被差別部落民として差別を受け、苦しんだ人は多かったのです。
 彼らには独立した生計と自由があったのだから、奴隷とは異なると思われるかもしれませんが、差別され、生き方がひどく制限されると言う意味では、奴隷状態にあったと言えます。
 島崎藤村の小説「破戒」は、そうした階級(被差別部落)に生まれた青年の悲劇の物語です。
 
 
 お金のための人身売買も、つい最近まで、公然と行なわれてきました。
 遊郭など、公的売春があった頃、(1957年4月、売春防止法が施行されるまで、日本にも政府公認の売春宿があったのです)。娼婦になるのは、たいてい親の借金の肩代わりに売られた少女たちでした。
 女工哀史で有名な「製糸工場の女工」なども、親の借金を背負って買われてきた少女たちが多く、一日十四時間というような重労働を強いられ、外出もままならない生活を何年も続けたのです。


 三千五百年も昔に、七年ごとに解放する年を設けて、負債や奴隷状態から人を解放させたのは、大変な出来事です。神でなければ出せない命令と言えるでしょう。

 モーセは念を押します。

 あなたは、エジプトの地で奴隷であったあなたを、あなたの神、主が贖い出されたことを覚えていなさい。それゆえ、私は、きょう、この戒めをあなたに命じる。(申命記15章15節)




posted by さとうまさこ at 00:00| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | Coffee Break | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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