2011年07月11日

Coffee Break313 血の責任(申命記21章1節〜8節)




 あなたの神、主があなたに与えて所有させようとしておられる地で、刺し殺されて野に倒れている人が見つかり、だれが殺したのかわからないときは、(申命記21章1節)

 あなたの長老たちとさばきつかさたちは出て行って、刺し殺されたものの回りの町々への距離をはかりなさい。(2節)


 これは、ミステリー小説の書き出しではありません。申命記(モーセの遺言演説)にあるみことばです。
「刺し殺されて野に倒れている人、発見!」と聞けば、だれでも殺人事件だと思います。古代のイスラエルでも、ただちに犯人捜索が始まったのでしょう。殺人事件に対して、どの程度の専門家がいたのかはわかりませんが、当時も、殺人は放置しておけない大きな問題でした。
 犯人がすぐに見つかればよいのですが、ここでは迷宮入り事件について、述べられています。

 何度も書きますが、「殺してはならない」は、十戒の六番目の戒めです。
 殺人は、なにより、神が厭われるものなのです。殺人または過失死について、聖書が何度も記しているのを見ても(出エジプト記21章12節~14章、18章~23節、28節~31節。民数記35章12節〜34節)、それが神と隣人への最大の罪であるのがわかります。


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 あなたの長老たちとさばきつかさたちは出て行って、刺し殺された者にもっとも近い町がわかれば、その町の長老たちは、まだ、使役されず、まだくびきを負って引いたことのない群れのうちの雌の子牛を取り、(申命記21章3節)

 その町の長老たちは、その雌の子牛を、まだ耕されたことも種を蒔かれたこともない、いつも水の流れている谷へ連れて下り、その谷で雌の子牛の首を折りなさい。(4節)

 そこでレビ族の祭司たちが進み出なさい。彼らは、あなたの神、主が、ご自身に仕えさせ、また主の御名によって祝福を宣言するために選ばれた者であり、どんな争いも、どんな暴行事件も、彼らの判決によるからである。(5節)

 刺し殺された町にもっとも近い、その町の長老たちはみな、谷で首を折られた雌の子牛の上で手を洗い、(6節)

 証言して言いなさい。「私たちの手は、この血を流さず、私たちの目はそれを見なかった。」(7節)


 迷宮入りの殺人事件の責任は、とりあえず、倒れていた死体から一番近い町が負うのです。
 それで、まだくびきを負ったことのない雌の子牛を、人が踏み入って耕した事のない土地の、きれいな流れの谷に連れて行って、首を折りなさい。つまり、犠牲として殺すのです。
 雌の子牛は、貴重なものです。殺人事件のさばきを行なう祭司の前で、その貴重な子牛を犠牲にして、自分たちの潔白さを証明し、血の汚れを落とすのです。

 じっさいには、もう少し遠いほかの町に犯人がいる可能性もあるでしょうが、だれが殺したかではなく、だれが神さまに対して、事件の責任を取るかに力点があるのです。

 民数記35章の、「のがれの町」の記述に続く、次のことばは、その答えであると思います。

「あなたがたは、自分たちのいる土地を汚してはならない。血は土地を汚すからである。土地に流された血についてその土地を贖うには、その土地に血を流させた者の血による以外はない。(民数記35章33節)

 あなたがたは、自分の住む土地、すなわち、わたし自身がそのうちに宿る土地を汚してはならない。主であるわたしが、イスラエル人の真ん中に宿るからである。(34節)


 土地に流された血についてその土地を贖うには、その土地に血を流させた者の血による以外はない。のですが、これを、子牛で代えることができるのは、ある意味で、神の叡智だと思います。もし、どうしても、犯人の血が必要ということになれば、むりやり無実の人を犯人に仕立てるおそれがあります。


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 人権活動で冤罪事件の支援に関わっている人から、次のような意見を聞いたことがあります。
「たとえ、百人の真犯人を逃がしても、一人の冤罪者を出してはいけない」

 その時、私は、これは難しい問題で、意見の分かれるところだと思ったのです。現実には、冤罪事件と、冤罪だと申し立てている事件の境目には、グレイゾーンもあるように思えたからです。
 ですが、いまは言えます。
 もし、すべての人が神を信じ、恐れているなら、心から神の目を恐れているなら、その意見も理にかなっている。なぜなら、真犯人は、人からうまく隠れおおせても、けっして、神から逃れることはできないからです。そのままでは、彼(彼女)は、生涯、いえ、死んだ後も、永遠に平安がないからです。

 今は、だれも雌の子牛の首を折らないのです。





posted by さとうまさこ at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | Coffee Break | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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