2010年11月04日

Coffee Break73 夢を解く




 ヨセフが牢に入れられたのは冤罪でした。けれども、ヨセフの場合、この不幸は、先で、以前にもまして高い地位に上るきっかけになったのです。

 ある時、ヨセフが管理している監獄に、ふたりのパロ(エジプト王)の側近が送られてきました。一人はパロの料理長、もう一人はパロの献酌官でした。これらの仕事は、のちの時代もそうですが、宮廷の中で高い位にあるのです。王さまのような権力のある人は、毒殺される危険性がいつもあるのです。ですから、食事関係にはとくに気を使い、信頼できるものをはべらせます。時代は一千年ほど下りますが、ペルシャに捕囚となっていたネヘミヤも、ペルシャ王アルタシャスタ一世の献酌官でした。彼は王の信頼がある人物だったので、エルサレムに帰還させてもらい、城壁を築くのです。(旧約聖書ネヘミヤ記)

 ふたりが、何が原因で牢に下ったのかは書かれていません。何しろ、パロは絶大な権力があるのですから、きげんを損ねるとそのようなこともあったのでしょう。

 ヨセフはふたりの世話をしていましたが、ある朝、彼らは、前夜見た夢を気にして落ち着きません。
 ヨセフは、どうしたのですか。と尋ねました。

 ふたりは彼に答えた。「私たちは夢を見たが、それを解き明かす人がいない。」
「それを解き明かすことは、神のなさることではありませんか。さあ、それを私に話してください。」(創世記40章8節)


 最初に献酌官が答えます。

「夢の中で、見ると、私の前に一本のぶどうの木があった。(9節)
 そのぶどうの木には三本のつるがあった。それが芽を出すと、すぐ花が咲き、ぶどうの房が熟して、ぶどうになった。(10節)
 私の手にはパロの杯があったから、私はそのぶどうを摘んで、それをパロの杯の中にしぼって入れ、その杯をパロの手にささげた。」(11節)
 ヨセフは彼に言った。「その解き明かしはこうです。三本のつるは三日のことです。
 三日のうちにパロはあなたを呼び出し、あなたをもとの地位に戻すでしょう。(13節)


 この解き明かしのあと、ヨセフは、献酌官がもとの役職に復帰した時、自分のことをパロに話してくれるよう頼みました。自分はもともと誘拐されてきたのであり、その上、濡れ衣を着せられて牢に入ったのだと、事情を語ります。

 料理長の方は、献酌官の夢がよい解き明かしだったので、自分の夢も解いてくれと頼みました。
 その夢は、料理長の頭の上にカゴが三つ載っていて、一番上のカゴには料理長が作ったたくさんの料理が入っていたが、鳥が来て、みな食べてしまったというのです。
 
 ヨセフは答えて言った。「その解き明かしはこうです。三つのカゴは三日のことです。(18節)
 三日のうちに、パロはあなたを呼び出し、あなたを木につるし、鳥があなたの肉をむしり取って食うでしょう。」(19節)


 はたして、その通りになったのです。三日目はパロの誕生日で、盛大な祝宴が開かれ、料理長と献酌官はともに牢から出されたのですが、献酌官がもとの地位に戻されたのに対し、料理長は木につるされた(死刑にされた)のでした。

 死刑になると言うような悪い夢を、率直に解き明かして相手に告げるヨセフに、ただ驚くばかりです。夢占いはいまもあるでしょうが、これほどはっきりと、最悪の結果を予言する占い師はいないのではないでしょうか。ヨセフが、占いを商売としてではなく、神の導きで解き明かすのだという自信が読み取れます。そうしてまた、そうであればこそ、的中したのでしょう。


 夢の解き明かしのとおり、復帰できた献酌官でしたが、なぜかヨセフのことを、パロに話してくれませんでした。「忘れてしまった。」(23節)のです。
 でも、これもまた、ヨセフには益になったのです。




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posted by さとうまさこ at 04:00| Comment(0) | TrackBack(0) | Coffee Break | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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