2010年12月01日

Coffee Break100 モーセの弱気 民の弱気(出エジプト記5章、6章)





 パロとの交渉は決裂しただけでなく、パロを怒らせたので、ヘブル人(イスラエル人)奴隷の待遇は前よりひどくなってしまいました。
 パロがヘブル人監督を迫害し、鞭打ったことで、モーセとアロンは同じヘブル人の彼らから、激しい非難を受けることになります。

「主があなたがたを見て裁かれますように。あなたがたはパロやその家臣たちに私たちを憎ませ、私たちを殺すために彼らの手に剣を渡したのです。」(出エジプト記5章21節)

 このようなことは、人間世界では当然の帰結です。反乱や革命というものは、ある集団とある集団の利害の対立の極地ですから、すんなりと進むはずがないのです。モーセとアロンのしたことは、それまでのヘブル人とエジプト人との関係を、根本からひっくり返すものなのです。奴隷であったヘブル人の側から、三日間も彼らの祭りのために出国させてくれなどということは、これまではなかったのでしょう。

 衝突があれば、当然、強い方が力づくで弾圧に出て来ます。その時、弱い側が一致団結してさらに交渉に当たるというのは、理想に過ぎません。私たちのまわりに見る小さな「団体交渉」でも、すぐ暗礁に乗り上げ、そうなると、不満がリーダーに向かうのです。

 さいわい、と言うべきか、出エジプト記は聖書の物語です。神がイニシャティブを取っておられる話なのです。
 そもそも、モーセが召し出されたのも、苦境にあえぐイスラエル人にリーダーになってくれと、担がれたのではありません。その叫びを聞かれた彼らの神・主がモーセを呼び出され、一方的に大任をお与えになったのです。

 ヘブル人監督に、「主があなたがたを見て、さばかれますように」と言われては、モーセも黙ってはいられません。すぐに、主のもとに戻って、申し上げるのです。

「主よ。あなたはこの民に害をお与えになるのですか。何のために私を遣わされたのですか。(22節)
 私がパロのところに行って、あなたの御名によって語ってからこのかた、彼はこの民に害を与えています。それなのにあなたは、あなたの民を少しも救い出そうとはなさいません。」(23節)
 主はモーセに仰せられた。
「わたしがパロにしようとしていることは、今にあなたにわかる。すなわち、強い手で、彼は彼らを出て行かせる。強い手で、彼はその国から彼らを追い出してしまう。」(6章1節)



 当然のことなのですが、神のお返事には、わずかの揺るぎもたじろぎもありません。
 神は、また、「わたしは主である」と告げ、自分は、エジプトにいるイスラエル人の苦悩の叫びを聞いたので、おまえに大任を与えた。かならず、パロは、あなたたちを去らせる。と断言されるのです。

 それから、今回の命令のもとになった出来事、アブラハム・イサク・ヤコブにカナンを与えると誓ったその地に、イスラエル人を連れ出し所有地として与えるのだと、前にも仰せになったことを(3章15節)繰り返して仰せになるのです。

 モーセとアロンは民のところに行きました。
 
 モーセはこのようにイスラエル人に話したが、彼らは落胆と激しい労役のためモーセに聞こうとしなかった。(6章9節)

 無理もありません。人間関係だけしか見えないとき、苦難があれば人間的な方法で解決したくなります。ここでは、自分たちの要求を下ろして奴隷生活に甘んじれば、少なくとも「元のレベルの苦しさ」に戻れるのです。

 民がまったく聞く耳を持ってくれないことに、モーセは落胆します。
 またしても、気弱になって、神に申し上げるのです。

「ご覧ください。私は口べたです。どうしてパロが私の言うことを聞くでしょう。」(6章30節)


 物事がうまく運ばない時、自分の短所がより大きく感じられるという人間心理は、モーセでも同じだったのだなあ思うと、私など、少なからず慰められたりするのです。もちろん、出エジプト記のテーマはそのようなところにないのでしょうが。





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posted by さとうまさこ at 04:00| Comment(0) | TrackBack(0) | Coffee Break | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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