2011年02月02日

Coffee Break163 食物禁忌(レビ記11章)




 私たちはいま、食べてはいけないと禁止されている食物はないと思っています。(くじらを食べるのを非難されていますが、禁止されているわけではありません)。世界中から届くものを、自由に選んで食べている時代です。ダイエットと健康を守るために個人的に、避けている食べ物、選んでいる食べ物があるだけの、グルメ追求のこの時代に生まれて、ほんとうによかった!と思っている方も多いでしょう。

 旧約聖書レビ記10章までは、祭司の祭儀に関わる厳格な話でした。いよいよ、食物の話!と唾を飲むところなのですが、やはり、いささかの緊張を強いる内容です。

 それから、主はモーセとアロンに告げて仰せられた。(レビ記11章1節)
 イスラエル人に告げて言え。
 地上のすべての動物のうちで、あなたがたが食べてもよい生き物は次のとおりである。(2節)
 動物のうちで、ひづめが分かれ、そのひづめが完全に割れているもの、また、反芻するものはすべて、食べてもよい。(3節)


 こう言われて、ひづめが割れている動物が何種類か即座に思い浮かぶ人は、今の日本人には少ないのではないでしょうか。もちろん、私も浮かびません。羊、牛、山羊は、ささげ物でもあったので、人も食べることができました。「完全にひづめが割れ、反芻する」動物だったのす。

 ひづめが割れていても反芻しないとか、反芻はするけれどひづめが割れていないとして、挙げられている動物として、らくだ、岩だぬき、野うさぎ、豚の名前があります。

 また、水棲のものとして、「海でも川でも、水の中にいるもので、ひれとうろこを持つものはすべて、食べても良い。しかし、海でも川でも、すべて水に群生するもの、またすべて水の中にいる生き物のうち、ひれやうろこのないものはすべて、あなたがたには忌むべきものである。」
 こちらのカテゴリは、いくつか想像がつきますね。
 日本人が好きな貝類、たこ、イカ、エビの類、うにやくらげが食べてはいけないようです。うなぎはどうだったでしょう。もっとも、イスラエルが占領したカナンは、真ん中をヨルダン川が流れていましたが、西の地中海沿岸は、ほとんど先住民のペリシテ人のものでした。また、この律法を受けた荒野ではもちろん、海産物を食べるどころではなかったでしょう。

 聖書は、その時代を生きた人々に向かって語られていることを思えば、このような禁忌も納得できるのです。

 爬虫類、両生類(かえるなど)は、水に棲んでいても、ひれがないのですから食べることはできません。

 鳥のうちで、忌むべきものの、名前が挙げられています。
 はげわし、はげたか、黒はげたか、(13節)、
 からすの類全部(15節)
 だちょう、よたか、かもめ、たかの類、(16節)
 ふくろう、う、みみずく、(17節)
 白ふくろう、ペリカン、野がん、(18節)
 こうのとり、さぎの類、やつがしら、こうもりなど、(19節)


 すべて肉食をする鳥、猛禽類です。こうもりは、今ではだれも鳥だとは思いませんが、当時の人は鳥だと思っていたのですね。

 

 禁忌のひとつに、「地上に群生するもの」として、昆虫類も取り上げられています。

 翅があって群生するもので、四本の肢で歩くものはすべて、あなたたちには忌まわしいものである。ただし、すべての翅があって群生するもので、四本の肢で歩くもののうち、それら肢の上部に、地面を跳躍するための折れ曲がった肢のあるものは、あなたたちは食べてもよい。(20節21節)

 昆虫は六本の足を持っているので、四本というのはおかしいと思われることでしょう。原文は「四つの上で歩くもの」となっているそうです。(岩波委員会訳聖書註解)
 四方に飛びかうものとする説もあるとか。古い文書なので、読解にも困難がともなうということでしょうか。
 「地面を跳躍するための折れ曲がった肢」はおわかりでしょう。
 その中から、トノサマバッタの類、ヒシバッタの類、こおろぎの類、翅長蝗の類は食べてもよい昆虫に挙がっています。

 蝗(いなご)は日本でも食べていました。いまは珍味として扱われていますが、わずか半世紀前まで、魚の少ない農家ではいなごを食べていたようです。私もいなごの佃煮を出されたことがありますが、最初は抵抗がありました。いかなごの釘煮(コウナゴのような小魚・神戸の特産)は食べられますが。

 食物規程の特徴は、食べてはいけないだけでなく、これらは忌むべき動物であって、触れてもいけないと戒められていることです。
 触って汚れた時の、処置も決められていました。


☆☆☆☆


 現代の食生活と比べると、食べるかどうかずいぶん多くの動物の種類が挙がっているのに気がつきます。とくに、動物の肉は、いまでは牛、豚、鶏で、ほぼ固定しています。サクラ肉(馬)、うさぎ、ひつじなどを食べることもありますし、犬を食べる国もあるそうです。いずれにしても、スーパーマーケットやレストランに売っていないものは、まず食べ物として口に入りません。

 今の先進国のように安定した食料の提供が保証されていなかった時代では、およそいろいろなものを食味し、いのちを落とした人もたくさんいたかもしれません。食物規程のこの細かさは、食べ物に一定の枠を嵌めて生存と社会秩序を守ろうとする神の意思が反映しているのではないでしょうか。


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posted by さとうまさこ at 04:00| Comment(0) | TrackBack(0) | Coffee Break | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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