2011年05月12日

Coffee Break256 神に反抗した男(ヨナ書)




 民数記を読み終えて申命記に入る前に、少し寄り道しましょう。


 子どもの絵本にもなっている物語、「お魚に飲み込まれたヨナ」の主人公ヨナです。彼の正式な名前は、アミタイの子ヨナです。聖書のヨナ書の書き出しは、つぎのようになっています。(新改訳聖書)

 アミタイの子ヨナに次のような主のことばがあった。
「立って、あの大きな町ニネベへ行き、これに向かって叫べ。彼らの悪が私の前に上ってきたからだ。」(ヨナ書1章1節)


 ヨナは預言者でした。預言者というのは神さまのことばを聞いて、民にそのことばを告げ知らせ、彼らのあるべき方向を指導する人のことです。Coffee Breakでは、すでにモーセが預言者として登場しています。
 聖書には、たくさんの預言者が出てきます。とくに、紀元前1千年頃にイスラエルに王国が成立し、やがて王国が分裂し、周辺国に攻められて弱体化して行く過程で、多くの預言者が、神のことばを語るのです。
 それらは聖書の中で、「預言書」と言うカテゴリーで、括られてています。

 ヨナ書はその預言書の中の、小預言書の五番目の書物です。とても短く、物語は小説のように起承転結がはっきりしていて、リーディングキャラクターである神とヨナとのやり取りが、とてもおもしろいのです。もちろん、読後に深く考えさせられるのです。

☆☆☆☆


 ある日、神様はヨナに、「ニネベへ行って、彼らに警告しなさい」と言われたのです。ニネベとは、BC780年頃、しだいに強大になりつつあったイスラエル北方のアッシリア帝国の首都でした。当時、北イスラエル王国と南ユダ王国に分裂して、弱体化の一途をたどっていたイスラエルにとって、脅威となっていました。
 アッシリアは強大であるだけでなく、残忍な施政でも知られていました。民は道徳的にも乱れ、神の目からご覧になったら忌まわしいことをしていました。

 ヨナは、天地万物を創造されたイスラエルの神に従う「神の人」でしたが、同時に、愛国者でした。アッシリアの人々が神にそむく生活をしているのを、「イスラエルにとっては好都合」と思っていました。忌まわしい民は、神みずからが滅ぼされるからです。
 イスラエルは、武力では、アッシリアに勝ち目はありませんでしたが、神が滅ぼされるなら戦わずして敵が消滅するわけです。

 ところが、なんと、神は、ヨナにニネベへ行き、彼らに悔い改めるように言いなさいと仰せになるのです。「叫べ」と言うのは、文字通り叫ぶようにして悔い改めを迫ることです。

 預言をするというのは、同じ国民の中でも楽なことではありませんでした。預言者は、神のことばを受けて言い広めるのですから、大体、人の耳に痛いことを言わねばなりません。
 それも、庶民に、「耳の痛い忠告」をするなんて、みみっちいことではありません。
 王様や権力者、贅沢に暮している金持などに警告するのです。十戒をはじめとする律法やおきてを思い起こさせ、「そのようなことをしていたら、神の怒りに触れるぞ!」と、悔い改めを迫るのです。

 権力のある人に逆らうのですから、だいたい、厳しい反応が返って来て、預言者の人生は苛酷なものとなるのです。それでも、同胞のためなら、我慢もできます。国を救うためなら叫ぶこともできます。
 しかし、ヨナは思ったのです。
「なんで、敵の国アッシリアに行って、忠告して、助けてやらなきゃならないのだ。」

 ☆☆☆☆

 ヨナは神様に反抗しました。神様を無視して逃げることに決め、ニネベとは反対のタルシシュに行くことに決めました。ヨッパという港町で、タルシシュ行きの船を見つけ、船賃を払って乗り込みました。
 
 もちろん、そのようなことで、神様から逃げることはできません。聖書の神・イスラエルの神は、「わたしはある」(I am who I am.)と自己紹介された神様です。つまり、存在するものすべてを存在させているお方です。神様は私たちの外におられるのではなく、私たちが神様の中に存在しているのです。


 ヨナは預言者ですから、天地創造の神様のことをよく知っていたはずです。逃げ切ることなどできないのを承知で、「反抗」したのです。

 ヨナの乗った船が港を出てまもなく、嵐が海を揺らし、船は難破しそうになりました。

 水夫たちは恐れ、彼らはそれぞれ、自分の神に向かって叫び、船を軽くしようと船の積荷を海に投げ捨てた。
 しかし、ヨナは船底に降りて行って横になり、ぐっすり寝込んでいた。(5節)


 ヨナには、これが神様の自分への報復であるのがわかっていました。神様はヨナをニネベへ行かせたいのですから、船を難破させ自分を殺すことはないと、思っていたのでしょうか。いえ、愛国者ヨナは、敵国を救うくらいなら、死んだほうがましだと考えたのでしょう。

 ヨナはそれでよくても、まわりが黙っていませんでした。
 船長が、ヨナを起こしに来ました。

                    つづく







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posted by さとうまさこ at 04:00| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | Coffee Break | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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