2011年07月10日

Coffee Break311 聖絶のじっさい(ヨシュア記6章21節〜24節、7章)

 


 話は少し飛んで、ヨシュア記の出来事です。
 モーセの死後、ヨルダン川を渡ったイスラエルの、最初の戦いはエリコに対するものでした。

 そのころ、イスラエルには神がついておられて、カナンを与えておられるということが、ヨルダン川の西の地域にも知れ渡っていました。それで、エリコの住民はおそれおののいていたのです。

 ヨシュアを指揮官に、彼らがエリコを取り囲んだ時、エリコは城門を固く閉ざしていました。そのエリコ攻めは聖書でも有名な箇所です。(ヨシュア記6章)
 少し変わった方法でしたが、イスラエルはエリコを攻め、エリコは陥落しました。彼らは町にあるものは、男も女も、若い者も年寄りも、また牛、羊、ろばも、すべて剣の刃で聖絶したのでした。(6章21章)

 それは、主の命令を守るためでした。

 ところが、じっさいには、「息のあるもの」で、殺されなかった者がいました。イスラエルの斥候をかくまってくれた遊女ラハブとその一族です。
 また、銀、金、青銅の器、鉄の器──当時のイスラエル人に取って貴重な金属──は、主のために聖別されたものとして、主の宝物倉に持ち込むと言う条件で戦利品としたのです。

 この時点で、すでに、「聖絶」が、かなり臨機応変に解釈されているのがわかります。
 ただし、個人がその楽しみや喜びのために、戦利品を盗むことには、厳しい罰が待っていました。

 エリコの次に、エリコより小さな町アイを攻撃した時、イスラエルは思いがけない敗北をきっしてしまいました。
 ヨシュアたちが地にひれ伏して歎いていると、主がヨシュアに仰せられたのです。

 イスラエルは罪を犯した。彼らは、わたしが彼らに命じたわたしの契約を破り、聖絶のものの中から取り、盗み、偽って、それを自分たちのものの中に入れさえした。(7章11節)

 調べると、ユダ部族のアカンという者が、分捕りものを盗んで隠していたのがわかりました。シヌアルの美しい外套一枚、銀二百シュケル、目方五十シュケルの金の延べ棒でした。
 聖絶の物を盗み取ったものがいたため、主の怒りが燃え上がって、戦いに負けたのでした。


☆☆☆☆

 聖書の神は、天地万物を造られただけではありません。全知全能で、永遠から永遠まで、そして宇宙の果てから果てまでを存在させ、統べておられる方です。
 ですから、神がその御手でカナンの民を滅ぼされて、カナンを更地にし、そこにイスラエルの民を入れるなどは簡単なことなのです。あるいは、エジプトの王と人民を滅ぼして、イスラエル人だけをそこに残すことでさえ、簡単だったでしょう。

 神は、あえて、そのような「楽」な方法をお選びにならなかったのです。「わたしが共にいるから」と、イスラエルの民を励まして荒野を行かせ、飢えや渇きや内輪もめや、主への背信や、あらゆる罪を経験させておられるのです。
 また、カナンに入るために、ヨルダン川をせき止める「奇蹟」を現されますが、戦いはあくまで、イスラエルの民が自分の剣ですることになるのです。

 あなたがたの足の裏で踏む所はことごとく、わたしがモーセに約束したとおり、あなたがたに与えている。(ヨシュア記1章3節)

 このように主が仰せになっている、その足が踏む一歩一歩は、剣で勝ち取るのです。


☆☆☆☆

 戦いに継ぐ戦い──そのような時期は一種異様な時間です。戦時体制がもつ異常な緊張は、日本でも、先ごろの大戦を経験した方々がしばしば口にするところです。どのように美しいスローガンを掲げ、どのようなもっともらしい大義名分があっても、日常的に血や死体を見るような極限状態では、人間の上辺の美しさなどは容易にはぎとられて、さまざまな罪の性質が現れます。兵士による略奪や強奪、強姦などが珍しくなくなります。ふだんはプライドの高い女が、一個のパンのために身を売るかもしれません。

 イスラエル人は、神の選びの民ですが、荒野での言動を見てもわかるように、じつに弱い人たちでした。
 その意味では、個人的な利益につながる略奪を禁じ、戦いが神の約束の地カナンを取るためであると、つねに思い起こさせるために、「聖絶」という大義名分は必要だったのかもしれません。

 ともかくも、こうして、少しずつ、イスラエルはカナンに入植するのです。





 
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posted by さとうまさこ at 00:00| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | Coffee Break | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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