2011年08月18日

Coffee Break348 モーセの死1(申命記32章48節〜50節)




 この同じ日に、主はモーセに告げて仰せられた。(申命記32章48節)

 「エリコに面したモアブの地のこのアバリム高地のネボ山の登れ。わたしがイスラエル人に与えて所有させようとしているカナンの地を見よ。(49節)

 あなたの兄弟アロンがホル山で死んでその民に加えられたように、あなたもこれから登るその山で死に、あなたの民に加えられよ。(50節)
 


 「この同じ日」とは、モーセが民に向かって、「決別の歌」を唱えた日です。主は、アバリム高地のネボ山に登れと命じられたのです。
 そこで、やがて、イスラエルの民が入るカナンの地を見ること。モーセ自身はその山で死ぬようにとの命令なのです。

 理由は、Coffee Breakでも何度か取上げました。モーセとアロンが、ツインの荒野(カデシュ)で民の求めに応じて水を出す時、神が岩に命じよ仰せになったのに岩を杖でたたいてしまった違反によるものでした(民数記20章1節〜13節)。結果的に水は出たのですが、神は、モーセがご命令どおりにしなかったことをお咎めになり、「カナンには入れない」と言われたのです。
 
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 神の人モーセの人生は、数奇と表現されるような始まりでした。彼が生まれた時、エジプトのパロは奴隷であったヘブル人(イスラエル人の別名)の男の赤ん坊を皆殺しにするように命じたのです。理由は、ヘブル人が増えすぎて脅威を覚えたからでした。
 モーセの母親は、その子が「かわいいのを見て」隠したのです。しかし、泣き声などもしだいに大きくなります。隠しおおせないと思った時、母親は葦のかごに赤ん坊を入れてナイルに流したのです。
 じっさいには、一種の捨て子です。猛きんやワニに襲われる可能性もあったでしょうが、母親にしてみれば、目の前で殺されるのを見るよりはまだ良いと考えたのでしょうか。神様に、「良い人に拾われるよう」祈ったことでしょう。
 不思議なことに、モーセは、願ってもない人に拾われることになりました。エジプトの王女がナイルで水浴をしているとき、葦のかごを見つけたのです。王女は、赤ん坊を連れ帰って自分の子どもとして育てることにしました。

 モーセは、死ぬべきところを助けられたのです。まさに、このときから神がモーセに目を止めておられたのです。
 せっかく、王女の息子として王宮で育ったモーセですが、四十歳のとき、ヘブル人奴隷を虐待するエジプト人を殺し、それがきっかけで荒野に逃亡するのです。
 ミディアン人の祭司の家に世話になり、祭司の娘を妻にして子どもも生まれました。モーセは羊飼いをしながら、平和な生活を送っていました。
 
 そのままであれば、モーセの後半生は平穏で平凡なものでした。ところが、羊を追ってホレブ(シナイ)に来たとき、神に召し出されるのです。とつぜん、モーセはイスラエルの民をエジプトから連れ出し、約束の地カナンに導く使命を与えられたのです。もちろん、六十万人からの民を統率するのに、神は、ひとりでやれと命じられたわけではありません。神が共にいてくださって、最大のサポートをしてくださるのです。


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 出エジプト記から民数記までの「荒野の旅」は、奇跡に継ぐ奇跡です。神のしるしと不思議があればこそ、荒野の四十年は乗り切ることができました。しかし、それは、SF小説のような痛快で、奇想天外なだけの奇跡物語ではありません。
 イスラエルの民は、不信仰でわがままな人間の集団。モーセは預言者ではありますが、ひとりの人間にすぎません。神と民との板ばさみになって民に殺されそうになり、民の不満と愚痴に押しつぶされそうになり、死を思うこと一度ならず。(Coffee Break200参照)、兄弟アロンや姉ミリヤム、従兄弟たちでさえ、彼の立場をねたんで、謀反を起す始末です。また、神に対する背信、不従順、忘恩を重ねる民に対して、みずから剣を取って同胞を殺さねばならないこともありました。


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 私は、荒野の四十年の間、モーセに一日でも家庭の団欒があっただろうか。同胞や仲間と笑いながら飲み食いした時間があったのだろうかと思うのです。
 ささげ物規定などを読むと、モーセもアロンやイスラエルの民とささげ物を食べたと推測できるのです。しかし、いつも圧倒的な「飢えと渇き」のなかにいたイスラエルの民が、はたして、充分なささげ物をして、「食べて満ち足りる」日がどれほどあったことでしょう。
 
 モーセは、じつは、神に、カナンに入れてくださいと嘆願して、却下されています。(Coffee Break269参照)
 いよいよ死地のネボ山に上ることを命じられた申命記32章48節以下では、ただ、神に従う心境になっています。

 このあと、モーセはイスラエルの民を祝福し、モアブの草原からネボ山に上るのです。







posted by さとうまさこ at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | Coffee Break | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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